「企業変革力(ジョン・P・コッター)」のまとめ

以前、ある上司から「新商品を作って、とりあえず半年で1億作ってくれ」というミッションを渡された。

そのミッションの過程であらゆることを叩き込んでもらったが、その中の1つに彼に勧められて読んだ「カモメになったペンギン」という本がある。

組織を変革していく手順とリーダーシップについて書かれた本で、物語形式で書かれており、一気に読破してしまったのを覚えているし、この本での内容を参考にしつつ仕事をしてミッションはハイ達成し、全社表彰もとれた。

今回紹介する企業変革力は、「カモメになったペンギン」の理論版であり、現在たずわさっている仕事で組織変革にチャレンジしようと思っており、改めて理論から学ぼうと思ったことがきっかけだが、結果的に非常に勉強になる名著だった。

ポイントは、以下2点。

  1. 企業変革には、順番がありこの順番を守っていく必要がある

  2. 企業変革にはマネジメントだけではなく、リーダーシップが必要

①危機意識を高める

現状満足は想定以上に力を持っている。危機意識を高めるには、原因除去or影響最小化する必要がある。

危機意識は、従業員の半分以上、トップ経営陣は全員がもつこと状態まで高める必要性がある。

危機意識の作り方エッセンス

  • 無理やり赤字を出す
  • ストレッチな目標設定
  • 数多くの人材が、企業ALLの業績責任目標を持つ
  • 自社、他社に関するデータの活用
  • リスクや機会の情報活用

②変革推進のためのタスクフォースを構築

複雑性の増したビジネス上で、最強のタスクフォースを形成する。

最強のタスクフォースの条件は、ハイポジション×専門性×信頼感×リーダーシップ。

タスクフォースに入れるべきでないのは、エゴ(自我)が強い人orネガをまき散らす人。

信頼関係を構築しあうことが大切。

社内の専門家やコンサルが設計したオフサイトミーティングは有効。

共通のゴールをもって、それを心から全員が達成したいと思うようになることでチームワークは生まれる。

③ビジョンと戦略を生み出す

ビジョンとは、「TOBE」および「TOBEに向かうべき理由」のこと。

ビジョンがあることでのメリットは、方針が明確になり意思決定が早まり、正しい方向に人材の行動を迅速かつ効率的に促すことができる点。

指揮命令をともなうマネジメントは、反逆者が生まれるため、「もうすぐ嵐が来る。あの洞窟で非難するのはどうだろう。雨も風も防げるし、火も起こせて暖もとれるかもしれない」というようなイメージ。

すぐれたビジョンの要件

  • 将来像がクリアで実現してほしいと思えるもの(顧客観点、株主観点、従業員観点)
  • ストレッチしたチャレンジ
  • 実現可能性
  • 明確な方向性がありつつ柔軟
  • 5分以内で説明可能
  • 誰かを犠牲にするようなことがない

④ビジョンを周知徹底

ビジョンについて従業員が腹落ちしたときに効果が発揮され、従業員の献身性を引き出すことができる。

ビジョンを周知徹底する上で必要な要件

  • 専門用語は使わない
  • たとえ話、比喩、実例を活用する
  • マルチなコミュニケーションチャネルを活用
  • 何度も伝える
  • リーダーの言動一致
  • 双方向でのコミュニケーション

⑤従業員の自発を促す

自発を促す上での阻害要因と対策。

組織構造の問題

組織間の壁が厚かったり、責任分断されていたり、社内手続きにお金や時間がかかったりの大企業あるあるは、この障害を早期に取り除かないと変革する意欲が失われる。

能力問題

これまでの行動やスキルとは異なるものが求められてくるため、その周知徹底のコスト投下にひよらない。

人事制度、情報管理ルール問題

旧来型の人事制度(評価など)や社内ルールが変革に案マッチしている場合は、変革アジャストが必要。

反対派の権力者

マネジメントだけで成果を上げた権力者の対応が一番難しい。最善の方法は、誠意をもって対話して協力を求めること。

変革初期段階で対応しなければ、後々反旗を翻されることになりかねないので、早期の対処が必要。

⑥短期的成果を実現する

小規模な組織では、半年以内。大企業では、1.5年以内に短期的成果を出さなければ、PRJに対して信頼が得られず改革が止まる可能性が高くなる。

誰の目から見てもわかりやすい短期的成果を収めることが大切。なおかつ、全体の改革の方向性の一部分であることが明確である必要がある。

中長期と短期とのバランスをとって両方を取りに行く姿勢が必要。

短期的成果を出すことによって、以下メリットがある。

  • 変革に対する価値の証明
  • ビジョン&戦略の修正
  • 反対派の勢い封じ&変革に勢いがつく

⑦さらなる改革を推進する

早めの勝利宣言をすると、すぐに元に戻ってしまう。

また、変革には複雑に絡み合ったPRJがいくつも走り、難易度が高い。

そのため、ボードメンバーはリーダーシップ、マネジメントはできるだけ下部に権限移譲することによって解決していく。

また、過去の経緯から作られた無意味な相互関係を排除することによって、一時的には対応コストはかかるものの、中長期的には推進をドライブさせることができる。

⑧新しい方法を企業文化に定着させる

企業文化は、無意識のうちに大多数の人材の考え方を方向付ける。文化自体は変革の最後の段階で実現されるものであり、継続的な議論の結果の産物。

企業文化はリーダーシップによって作られ、マネジメントでは作ることができない。

マネージャには、十分な権限を与える必要がある

マネジメントとリーダーシップ

マネジメントとは、仕事の管理に近い。仕事や予算をプランニングして、組織オーガナイズして、それらをコントロールして結果を出していくというもの。

つまり、マネジメントを構成するのは計画と予算。

一方で、リーダーシップは、方向を設定して、モチベーションを最大限引き上げていくというもの。

つまり、リーダーシップを構成するのは、ビジョンと戦略(ビジョンの達成する論理)。

成功を収める改革は70-90%がリーダーシップによる賜物。

複雑性が増している社会では、一筋縄なマネジメントでは、スピードも出ず変革が起こせない。 なぜなら、マネジメントは上意下達となり、変革を進める際に要求される人材の自己犠牲、献身を引き出すことはできないから。

リーダーシップは、数名によって始まるが、変革の際には、その数は次第に増加させていく。

リーダーシップを発揮している人材に、「競争に挑む意思」と「生涯学習」の2つが共通項目。

生涯学習を進める人材は、「リスクを負って謙虚で柔軟でオープン」という特性がある。